まず、不安というのは誰もが持っている感情で、異常な感情でないことを理解して欲しいと思います。
これまで、不安な気持ちを一度も感じたことがないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。なぜなら、不安や憂鬱というのは、誰もが感じる、人が生きていくための反応であり、大切な機能だからです。人は、「先が読めない」、「先が見えない」時に不安を感じたり、「xxになってほしい」、「xxになってほしくない」、「xxであってほしい」、「xxであってほしくない」時に不安を感じたりしやすくなります。例えば、大事な試験、スポーツの試合、好きな人に気持ちを告白する時、身体の精密検査の結果を聞くとき、などがその例ですね。
では、自然な不安感情と、不安障害とは一体何が違うのでしょうか。人は、不安になると、自律神経症状といわれる身体の症状が出てきます。多くは、特に最初は自分ではどうにもならない身体の活動です。例えば頭が真っ白になったり、心臓がドキドキしたり、息が荒くなったり、足や手が震える、といったような反応です。これらは、自律神経系、特に交感神経の反応と呼ばれます。「あっ、このままではダメだ」と思うと、ますます症状が強く出てしまい、悪循環に陥ってしまいます。このような反応が自分のコントロールの範疇を超えてしまい、反射的に身についてしまうと不安障害と呼ばれるようになります。
でも本当に、これらすべてが医療の範囲なのでしょうか?医療機関に行くと、お薬をもらうことはできます。しかし、お薬の服用が始まると、今度はお薬をやめることへの不安が始まってしまうかもしれません。もちろん、私たちは精神科の医療従事者ですので、薬物を否定するわけではありません。薬物療法が必要な方たちも多くおられるからです。しかし薬物が必要な時期はあっても、それとは別に自分自身で改善を目指すトレーニングも大切です。それには、「不安を喜ぶ」という気持ちを持ってほしいと願っています。なぜなら、不安は人が生きる上で備わっている、「何とかしよう」という気持ちの原点となる大切な機能だからです。このように不安を肯定的なものと理解すれば、過度な心配が無くなり、不安を解消するための糸口となります。
「どこでも語る室」では、臨床経験豊富な専門家(精神科医師、精神科看護師、精神科病院勤務歴のある心理士等)がお話をお聞きし、どのような対応が適切かあなたに役立つアドバイスをさせて頂きます。私たちは、基本的にお薬無しでも大丈夫だ!と思える状態を一緒に目指していきたいと考えています。不安によって前に進めない状態から、不安をバネに前に進むことが出来るよう、私たち「どこでも語る室」はあなたをサポートしていきたいと思います。
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